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こんにちは。調剤システムメーカーの株式会社ズーです。

近年注目度が上がっている「ポリファーマシー」の問題。
診療報酬においてもポリファーマシー対策が評価されていますが、薬局薬剤師はポリファーマシー対策においてどんな役割でしょうか。

今回はポリファーマシーの定義や、解消のための薬局薬剤師の役割についてまとめてみたいと思います。

1.ポリファーマシーの定義

辞書
ポリファーマシーは「poly(複数)」と「pharmacy(調剤)」を合わせた造語で、多剤服用の中でも害をなすものを特にポリファーマシーと呼びます。
単に服用する薬剤数が多いのみならず、それに関連して薬物有害事象のリスク増加、服用過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態です。

多剤服用については明確に何剤以上という決まりはありませんが、5~6種類以上を多剤服用と扱う場合が多いと思います。

なお、薬局のポリファーマシー解消への診療報酬上の評価としては、「薬剤調整支援料1」「薬剤調整支援料2」「重複投薬・相互作用等防止加算」等が挙げられます。

以下は用語の解説です。

・薬物有害事象
薬剤の服用開始後に起こる有害な症状等を指す言葉で、薬剤との因果関係を問わない概念として使われています。薬剤との因果関係が疑われる場合の「副作用」もこれに含まれます。

・服薬アドヒアランス
患者さん自身が自分の病気を理解し、治療方針の決定に参加した上で、積極的に治療に協力する姿勢のことです。
例えば、たくさんのお薬を服用していて、お薬を飲み忘れてしまう、あるいは用法用量を間違える状態等を服薬アドヒアランスの低下と呼んだりします。

2.薬局薬剤師の役割

カンファレンス
令和3年3月31日に厚生労働省より発出された「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」の中では、ポリファーマシー対策の体制作りと、地域での多職種連携の仕組み作りが主に語られています。

その中で、薬局薬剤師の役割として以下のような記載がありました。

・服薬情報提供書の活用
患者の意向、処方見直し案やその理由について状況に応じて情報提供を行う。

・かかりつけ薬剤師によるフォローアップ
入院時・退院時に患者情報について情報共有を行い、退院後のフォローアップを行う。

・在宅薬剤管理指導
相互作用、アドヒアランス向上対策、栄養状態の管理と把握等を行い、患者への介入状況を多職種へフィードバックする。

また、これまで厚生労働省より発表されてきたポリファーマシー対策の指針においては、薬局には服薬情報の一元管理と地域連携の充実が求められています。
参考:高齢者の医薬品適正使用の指針-総論編-
参考:高齢者の医薬品適正使用の指針-各論編-(療養環境別)

3.ポリファーマシーの発見

虫眼鏡を持った白衣の女性
ポリファーマシーの解消には明確な手順は確立されておらず、様々なタイミングでポリファーマシーの発見をして、対象疾患への治療効果や日常生活の変化等から総合的に判断する必要があります。
ではポリファーマシーの発見のためにはどんな取り組みが考えられるでしょうか。

・かかりつけ薬剤師を決めてもらう
服薬情報や医療機関の一元管理を担うかかりつけ薬剤師を決めてもらうことは、ポリファーマシーの発見に繋がります。
ただし、内閣府の調査によるとかかりつけ薬剤師を決めている患者さんは7.6%とのことで、まだまだカバーしきれないケースが多そうです。

出典:「薬局の利用に関する世論調査」(内閣府)

・お薬手帳の活用を促す
複数の薬局を利用している場合の一元管理の方法としては、お薬手帳が第一に挙げられます。
こちらは71.1%の患者さんが利用しているとのことで、しっかり持参してもらえれば間違いなく効果があります。

・在宅訪問時に確認をする
服薬情報の一元管理だけではなく、残薬の状況や患者さんの日常生活の変化をより近くで確認することができます。

・条件を決めて該当患者を探す
例えば「8種類以上を複数の医療機関から処方されている患者さん」というように絞りこむことで、注意して対応する患者さんを把握するという手もあります。

当社製品KUSUDAMAの本部システムでは、〇種類以上という条件を決めて患者さんをリストアップすることも可能です。

4.まとめ

今回はポリファーマシーについてまとめてみました。
薬局薬剤師の役割を振り返ると

・患者さんの服薬情報を一元管理
・医療機関への情報提供
・必要に応じて処方提案
・在宅訪問での患者さんへの介入
・地域での多職種との情報共有

となります。
改めて考えると、地域連携薬局との関連性がとても高いように感じます。

それではまた、ズーでした。