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濫用等のおそれのある医薬品の対応と指定範囲の拡大について

こんにちは。株式会社ズーです。

薬物依存の中でも、一般用医薬品の過量服用は最も身近で、近年広がりを見せている中、それを阻止する最後の砦は薬剤師登録販売者になります。

また、厚生労働省は令和5年1月13日、濫用等のおそれのある医薬品の指定範囲の拡大を告示しました。
令和5年4月1日から適用されたので、これにより対応すべきケースが増えることも予想されます。

今回は、中毒症状を引き起こす可能性があり、医薬品販売の監視指導ガイドラインにも項目としてある、濫用等のおそれのある医薬品の指定範囲、取り扱い、対応についてまとめてみました。

1.濫用等のおそれのある医薬品とは

錠剤
濫用等のおそれのある医薬品とは、一般用医薬品のうち、指定された成分について販売時の数量制限や、購入理由の確認等、リスク区分とは別で追加の方策がとられている医薬品です。

指定された成分は以下の6成分です。

1.エフェドリン

2.コデイン

3.ジヒドロコデイン

4.ブロモバレリル尿素

5.プソイドエフェドリン

6.メチルエフェドリン

なお、指定された成分の範囲は令和5年4月1日から拡大しておりますので、続いてその拡大範囲についてご紹介します。

2.指定範囲拡大について

かぜ薬
令和5年4月1日からは濫用等のおそれのある医薬品の指定範囲が拡大され、以下のように変更となりました。

今まで ⇒ 現行(赤字が変更となった成分)

1.エフェドリン ⇒ エフェドリン

2.コデイン (鎮咳去痰薬に限る。) ⇒ コデイン

3.ジヒドロコデイン (鎮咳去痰薬に限る。) ⇒ ジヒドロコデイン

4.ブロムワレリル尿素 ⇒ ブロモバレリル尿素

5.プソイドエフェドリン ⇒ プソイドエフェドリン

6.メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち、 内容液剤に限る。) ⇒ メチルエフェドリン

今まで「鎮咳去痰薬に限る。」等限定していた成分について、指定範囲外の総合感冒薬などでも依存症例が確認されていることから、今回の指定範囲拡大に至りました。

これにより対象となる一般用医薬品は変更前の倍以上に増えたので、風邪薬を中心に対応すべきケースはかなり増えます。

なお、「ブロムワレリル尿素」は「ブロモバレリル尿素」へ成分表記が変更になっていますが、成分自体に変更はないので品目数も変わりません。

3.販売制限と確認事項について

STOP
濫用等のおそれのある医薬品は、販売時の確認事項がいくつかあり、それらは医薬品医療機器等法施行規則第15条の2の規定により定められています。
購入又は譲り受けようとする対象者への確認事項は以下になります。

①対象者が若年者(中高生等)である場合は、氏名及び年齢を確認する

②対象者か使用者が、他の店舗や業者から濫用等のおそれのある医薬品を手に入れているか確認する

③対象者が適正な使用のために必要と認められる数量を超えて、当該医薬品を手に入れようとする場合、その理由を確認する

④その他、医薬品の適正な使用が目的であることを確認するために必要な事項。

上記項目の確認後に専門家が勘案して、適正な使用のために必要と認められる数量に限り、販売・授与します。
※適正な使用のために必要と認められる数量は、原則として一人一包装単位となります。

なお、濫用等のおそれのある医薬品という表示はなく、外箱に特別なマークなどもないので、管理には注意が必要です。

4.店舗での対応

では具体的に店舗での対応・対策をどうすればいいか、例としていくつか挙げてみました。

・陳列による対策
POP
法令では濫用等のおそれのある医薬品について陳列位置の決まりはありませんが、陳列方法によって対策となる場合もあります。以下にいくつか陳列の例を挙げます。

・来局者の手の届かない位置に陳列する

・自由に手が届く位置には一箱ずつ置く

・空箱で陳列をする

・商品の購入カードを代わりに陳列する

・一人一箱まで!という内容のPOPなどを掲示する

陳列による対策をすることで、大量購入の防止に繋がると思います。

・声かけによる対応
薬の説明
濫用等のおそれのある医薬品の購入に対して、こまめな声かけを行うことは理想的な対応です。

若年者の場合は学生証等の提出を求めたり、複数個購入しようとする場合はその理由を聞いたり、状況に応じて確認する内容は変わります。
前提として、対象商品であることを見逃してしまうのは避けなければなりません。

対象商品であることを見逃さないためには、販売時に取り外せる目印を付けておく取り組みや、対象商品の販売時にアラートが表示されるシステムの導入などが考えられます。

・販売記録の作成
書類作成白衣
要指導や第一類と同様に、販売記録の作成を行うことで頻回購入の防止に繋がります。
同時に、声かけ等による聞き取りを行えば、他店舗での購入履歴も確認、記録することができます。

濫用等のおそれのある医薬品についての販売記録の作成は義務付けられていませんが、こうした取り組みが購入者にとっての安心・安全な店舗へと繋がるのではないでしょうか。

なお弊社のPOSレジ「GPOS just」では、対象商品販売時のアラートや、販売記録作成のためのアンケート機能などが標準装備となっております。
よろしければこちらもご覧ください。

5.終わりに

今回は濫用等のおそれのある医薬品の指定範囲や対応についてまとめてみました。
いくつかの確認と販売制限は義務ですので、しっかりと対策・対応ができるようルール決めや声かけのシミュレーションはしておきたいですね。

指定範囲が拡大した結果、どれぐらいの商品が対象となったのか、弊社データベース「YAKUGEN」から商品名の一覧をご用意しましたので、よろしければご活用ください。
※このデータはPB品等の一部の商品を除いた、2023年4月7日現在のデータとなっております。最新情報は別途お問い合わせください。

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濫用等の恐れのある医薬品リスト_20230127

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それではまた。ズーでした。