この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。


こんにちは。ズーです。

薬局のトラブルの中でもかなり多いとされる、待ち時間に対するクレーム。どうにか患者さんのストレスを軽減できないものでしょうか。

今回は、待ち時間が長く感じる8つの法則をご紹介し、それぞれの対策を考えていきます。

1. マイスターの8つの法則

1985年、デービッド・マイスター氏が論文『The psychology of waiting lines(待ち行列の心理学)』において、待ち時間を長く感じる8つの法則を説明しました。

① 何もしていない時間は長く感じる
② 人はとにかく物事を始めたいと思う
③ 不安があると、待ち時間は長く感じる
④ 待ち時間が分からないと、長く感じる
⑤ 理由がわからない待ち時間は長く感じる
⑥ 不平等な待ち時間は長く感じる
⑦ 価値あるものに対する待ち時間には寛容になれる
⑧ 独りの待ち時間は長く感じる

経験則的にも納得できる内容が多いかと思いますが、薬局としてどんな対策ができるでしょうか。

2. 8つの法則への対応策

8つの法則に対して、店舗設備、掲示、コミュニケーションの三つのグループに区切り、それぞれの対応策を考えていきます。

2.1 店舗設備での対応(①、②、⑤への対策)

待合室
まずは店舗の設備やレイアウトで何ができるのか、対象の法則に沿って考えます。

① 何もしていない時間は長く感じる
ただ待っているだけの時間は退屈なので、当然長く感じられます。雑誌やテレビ、飲み物やお菓子など、何かやることが待合エリアにあると対策になります。大規模な設備だと水槽の設置や、健康に関する図書室を設置しているところもあるそうです。

② 人はとにかく物事を始めたいと思う
人は物事が始まり、しっかりと進んでいることで安心感を得ます。そのため、受付が済み、待合エリアに行き、投薬カウンターに呼ばれるという流れが、段階としてわかりやすいレイアウトだと安心感があると思われます。

⑤ 理由がわからない待ち時間は長く感じる
薬局は透視面によって調剤室を見ることができるため、理由を見る設備は十分だと考えられます。ただし、掲示等でなぜ時間がかかるのか伝える必要はあります。

2.2 ポスターなど掲示による対応(④、⑤、⑥への対策)

次に、ポスターや電光掲示板など、掲示による対策を考えます。

④ 待ち時間が分からないと、長く感じる
具体的に何分ぐらいかわからず「しばらく待つ」という状態は長く感じられます。これに対しては張り紙や電光掲示板によって「現在の待ち時間は10分」などある程度の目安がわかるようにすると、患者さんは安心して待つことができます。

⑤ 理由がわからない待ち時間は長く感じる
薬局の透視面で調剤室が見えますが、ほとんどの方は見ても何に時間を使っているのかわからないと思います。どんな手順で調剤をしているか、ポスター等でアピールをすることで、納得して待ってもらえるかもしれません。

⑥ 不平等な待ち時間は長く感じる
薬局は処方箋の内容や事前FAXの有無によって、投薬の順番が変わることがあります。しかし待っている側からすると、なぜ飛ばされたんだと不満に思うケースもあるかもしれません。順番が前後する可能性があることを掲示して周知することや、事前のFAXが便利という案内を掲示しても効果が期待できます。

2.3 会話での対応(③、④、⑥、⑦、⑧への対策)


ここまで薬局の設備や掲示について考えましたが、一番効果があるのは会話のはずです。
どんな会話をすれば対策となるのか、考えていきます。

③ 不安があると、待ち時間は長く感じる
飲食店であれば、注文忘れられていないかな?という不安だったりしますが、薬局の場合はそもそも何か不安を抱えて来局している場合がほとんどです。処方箋を受け取る際に何か一言付け加えたり、投薬の前にしっかりと前指導をすることで、患者さんの不安は軽減されると思います。

④ 待ち時間が分からないと、長く感じる
これについても、ある程度推測できた段階で伝えると安心感があります。その数字は経験則で伝える場合もあれば、薬局業務の見える化をして、統計的にどのぐらい時間がかかっているのか導き出す場合もあります。

⑥ 不平等な待ち時間は長く感じる
事前に順番が前後する可能性があることを伝えることや、前後した時に一声かけることで、不平等さは少し軽減されるかもしれません。

⑦ 価値あるものに対する待ち時間には寛容になれる
一般的な飲食店であれば、評判の料理を待つことはわかりやすい価値です。しかし薬局の場合は、美味しい薬を出すというわけにもいかないので、服薬指導に価値を見出してもらう必要があります。この人に相談したいと思ってもらうコミュニケーション力が重要となります。

⑧ 独りの待ち時間は長く感じる
複数人で来局するかどうかはコントロールできないので、対応として必要なのは定期的なコミュニケーションです。例えば30分待っていただく場合は10分毎に話しかけるよう心掛けるなど、何か指標を決めると良いかもしれません。

3. まとめ

今回は待ち時間のクレームを減らすため、どうすれば待ち時間が短く感じるのか考えてみました。
大手の飲食店やアミューズメント施設は、今回挙げた法則に気を使っている部分があるので、利用する際に違った目線で見てみるのも楽しいかもしれません。

それではまた。ズーでした。