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こんにちはズーです。

2020年7月1日にレジ袋の有料化がスタートします。既に前倒しで有料化している業種もある中で、
調剤薬局もレジ袋を使う限りはこの制度の対象となります。

そこで今回は、レジ袋に入れますか問答への対策や、想定できるトラブルへの対策をまとめてみました。

制度の詳細について経済産業省の特設ページをご覧ください。
プラスチック製買物袋有料化(経済産業省)

1. 無意識にレジ袋を避けるようになる行動経済学

レジ袋有料化の制度は、過剰な使用を抑制していくための制度です。
使用抑制を促すためには、レジ袋を自然に断るような流れ作りが必要になるかと思います。

ではどうやって自然な流れを作るか、行動経済学から対策に効果的な二つのキーワードをご紹介します。

現状維持バイアス】
人は無意識に変化を避け、現状を維持している方が良いはずだと考えます。
例えば、頭痛薬を買いに来た患者さんの症状を聞いて、一度医師に診てもらった方がいいのではと伝えても、とりあえずまだ大丈夫だと言ってそのまま帰ってしまった。これも現状維持バイアスが原因の一つだと考えられます。

【損失回避の法則】
人は無意識に、何か得をすることよりも、何か損をすることを優先して回避します。
例えばこの記事のタイトルで考えてみます。「手間を増やさないために」というワードは「手間が増える」という損を強調していますが、「手間を減らすために」というワードにすると、意味が同じでも「手間が減る」という得を強調することになり、パンチが弱まるかもしれません。

それでは具体的な活用例を見ていきましょう。

1-1 申告カードを使う

スーパーやデパートで多く使われている手法で、レジ袋申告カードがあります。
これについて経済産業省が、色々なパターンの申告カードを用いた実験をしました。

結果が以下の表になります。

引用元:経済産業省

まずわかるのは、レジ袋が必要な人は申告してくださいというカードの方が、明らかに辞退率が高いことです。これは現状維持バイアスによる効果で、初期設定がレジ袋無しになっているため、レジ袋有りにするハードルが上がり、このような結果になっています。

さらに、一番左の海洋ごみの写真を付したカードは一番辞退率が高いです。これはシンプルに良心に訴えかける効果もありますが、マイナスイメージの写真を付けることで、レジ袋を使うと損をするイメージをつけ、損失回避の法則に当てはめることに成功しています。

申告カードの内容やデザインによって患者さんの反応は様々だと思うので、申告カードを導入する場合は、その先の効果も考えてみるといいかもしれません。

1-2 聞き方を変える

レジ袋はお付けしますか?

このセリフは日常生活で何度も聞くセリフですが、有料化によって聞き方を変える必要が出てきます。
いくつか聞き方を変えた例を出して、それぞれの効果を考えてみましょう。

聞き方①「有料のレジ袋はお付けしますか?」
→有料であることがはっきりわかるので、損だと思う人は断るはずです。また、レジ袋を付けないのが標準だと暗に示しています。

聞き方②「レジ袋は有料ですが外しますか?」
→有料であるのがはっきりわかりますが、こちらはレジ袋を付けるのが標準というイメージになります。

聞き方③「レジ袋に入れておきますね。」
→相手から断らなければ付けてしまうパターンです。レジ袋の価格を明示した上で、患者さんが断ることが可能であることが経済産業省の想定なので、レジ袋に関する掲示に工夫が必要かと思われます。

どんな聞き方をするかは患者さんの様子や、聞く人のキャラクターによって考える必要がありますが、
この聞き方だと患者さんはどう思うか、先にイメージしておくとスムーズだと思われます。

1-3 こちらからは聞かない仕組みを作る

レジ袋が必要な人は自分から言ってもらい、言われなければレジ袋を無しにする手法です。
現状維持バイアスによって、付けて欲しいと言われる可能性はかなり減ると思われます。

ポスターや声掛けによって、標準ではレジ袋無しだと認知してもらう必要はありますが、こちらからは聞かずに済むので、会計の流れはシンプルになります。

不親切だと思われるのではないかという懸念もありますが、ポスターや待合室の掲示でしっかりアピールをして、患者さんが自分でレジ袋を付けない選択をした印象を付けることで、不親切なイメージにはならないと思います。

具体的な事例としては下記の記事があります。
レジ袋を82%も削減した小さな薬局。取り組みの成功要因とは?

2. トラブルへの対策

トラブル

いざ有料化が始まってみると、今までなかったトラブルや手間が増えると思われます。
今のうちに想定できるトラブルは、対策してしまいましょう。

2-1 調剤会計とレジ袋会計のレジ打ち問題

調剤の領収書とレジ袋代の領収書どちらも必要ならば、レジ打ちの工程が増えるかもしれません。
この問題について、いくつか対策を考えてみます。

対策① レセコンの領収書に入れてしまう
レセコンの入力で工夫をして、一枚の領収書に組み込んでしまうという手です。この場合入力内容が増えるだけでなく、事前に袋に入れるか確認が必要になるので、気を付けることが多いです。

対策② 事前に領収書をたくさん用意しておく
レジ袋代は価格が一定なので、事前にレジ袋代だけ書いてある領収書をたくさん用意しておけば、毎回レジ袋一枚のためにレジ打ちをする必要はありません。ただし領収書だけ渡してレジ袋代を会計に反映し忘れると、レジ締めが合わなくなるリスクはあります。

対策③ 同時会計ができるPOSレジを使う
調剤会計とレジ袋を同時に会計し、レジ袋の領収書だけを出すことができるPOSレジであれば、レジ袋ボタンを押すだけで今までと変わらない流れで動けます。

2-2 レジ袋を断ることによる紛失の増加

レジ袋が順調に削減されていったとして、次に起こりうるトラブルは紛失の増加だと思います。
自分のバッグにそのままお薬を入れるケースや、スーパーで買った物と一緒に入れるケースが増えると、それだけ紛失の可能性も上がり、入れ忘れじゃないかと疑われるかもしれません。

この問題への対策はシンプルで、証拠として監査時の写真を残しておくことだと思います。
監査時の写真を残しておけば、何かあった時にすぐに対応できるはずです。

写真の保存方法は様々ですが、例えば弊社製品の「kusudama(薬玉)」であれば、タブレットのカメラ機能を用いて、受付に紐づけて管理することができます。

3.まとめ

レジ袋の有料化がいつか当たり前になっていくとしても、有料化がスタートしてしばらくはある程度の混乱が予想されます。想定外のトラブルで心を痛めないよう、事前にシミュレーションをしてみて、ルールを作成してみてはいかがでしょうか。

それではまた。ズーでした。