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こんにちは。調剤システムメーカーの株式会社ズーです。
将来的には紙の健康保険証を廃止するという政府方針で何かと話題になっている、マイナンバーカードの健康保険証利用。
まだまだ利用者数は少ないですが、今後は健康保険証利用のメリットなど患者様から聞かれることが増えるかもしれません。
今回は、いわゆる「マイナ保険証」の概要と、患者様と薬局の両視点で「マイナ保険証」を利用する事による変化をまとめてみたいと思います。
1.「マイナ保険証」の概要
そもそもマイナンバーカードとは、プラスチック製のICチップ付きカードで、券面に氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバーと本人の顔写真等が表示されたカードです。
本人確認のための身分証明書や、各種自治体サービス等に利用可能となっています。
マイナ保険証は、健康保険証利用の申し込みを行ったマイナンバーカードのことです。
オンライン資格確認に対応している医療機関・薬局の場合は保険証として利用することができます。
なお、マイナ保険証の申し込みをした後も、今までの健康保険証は変わらず利用可能です。
むしろ、マイナ保険証はオンライン資格確認に対応している医療機関・薬局でのみ利用できるので、しばらくは今までの健康保険証も持ち歩いた方が無難と言えます。
2.患者様にとっての「マイナ保険証」を利用する事による変化
マイナ保険証を利用する場合の、患者様視点の変化についてまとめていきます。
患者様の中でもマイナンバーカードに慣れていない方が多くいると思いますので、薬局で聞いてみようということも十分考えられます。
まずはオンライン資格確認対応の医療機関・薬局の窓口に持ち込んだ場合の変化です。
具体的には以下の
・保険者証類(健康保険被保険者証/国民健康保険被保険者証/高齢受給者証等)
・被保険者資格証明書
・限度額適用認定証/限度額適用・標準負担額減額認定証
・特定疾病療養受療証
等の持参が不要となります。
・高額療養制度の一時支払いの手続きが必要なくなる
持参しない証類の一つにもありますが、オンライン資格確認の際の情報提供に同意することで、限度額を超える支払いがその場で免除されます。
・薬剤情報等の情報を提供することができる
今まで口頭やお薬手帳を用いて提供していた過去のお薬や検診情報等が自動で連携されるので、口頭で説明する必要なく正確に伝わるようになります。
・窓口負担が安くなる
今までの保険証よりもマイナ保険証の方が、窓口負担が若干安くなります。
・就職、転職、引っ越しの際に保険証の切替を待たずに受診することができる
転職等のライフイベントで健康保険証が変わる場合も、新しい保険証の発行を待たずにそのままマイナ保険証は使うことができます。
ただし、医療保険者等が変わる場合は、加入の手続が引き続き必要です。
これら以外にも、マイナンバーカードを利用するサイトである「マイナポータル」においても変化があります。
・医療関係の情報を自分で確認できる
特定健診情報や診療・薬剤情報・医療費がマイナポータルでいつでも確認することができます。
・年間の医療費が10万円以上かかった場合の確定申告の医療費控除が簡単にできる
確定申告における医療費控除の手続きで、マイナポータルを通じてe-Taxと連携し、医療費通知情報を自動入力することが可能となります。
ただし医療費通知情報で確認できるのは、窓口で支払った公的医療保険に係る医療費の情報等に限られるため、その他の医療費控除の対象となる医療費は引き続き自分で管理する必要があります。
詳しくは以下をご参照ください。
よくあるご質問「医療費通知情報ではどのような情報が閲覧できますか。」(マイナポータル)
3.薬局にとっての「マイナ保険証」を利用する事による変化
続いて、マイナ保険証を患者様が薬局に持ち込んだ場合についてもまとめていきます。
以下は顔認証付きカードリーダーを用いたオンライン資格確認ができる薬局の場合の話となります。
・保険証情報の入力の手間が省ける
オンライン資格確認によって患者様の情報を取り込むことで、特に新規の患者様の場合入力の手間が減ります。
・保険証利用の申し込みを薬局で行う場合がある
マイナ保険証の申し込みは顔認証付きカードリーダーで行うことができるので、薬局で申し込みをすることもあります。
・薬剤情報等の情報を取得することができる
患者様の同意があった場合、患者様の特定健診情報や診療・薬剤情報等を確認することができます。この情報は患者様自身もマイナポータルから確認できる内容です。
・不慣れな患者様へのサポートとリスク
マイナンバーカードは預かることが禁止されているため、原則患者様自身に認証作業をしてもらうことになりますが、不慣れな患者様の質問に答えたりお手伝いをする可能性は高いです。
元々保険証でも紛失や取り違いのリスクはありましたが、扱うのがマイナンバーカードとなると、より慎重に扱う必要があります。
・マイナ保険証を使うかどうかで加算が異なる
オンライン資格確認を行える体制が整った薬局の場合、マイナ保険証を用いた情報提供を行うかどうかで加算が異なります。
これについては以下の記事にて詳しくまとめてありますので、ご参照ください。
令和4年10月薬局関連の改定内容についてのまとめ(株式会社ズー)
4.終わりに
今回はマイナンバーカードの保険証利用と薬局の関係についてまとめてみました。
今後どれほどのペースで利用者が増えていくかわかりませんが、利用者が増えるだけ患者様からの質問も増えると思いますので、患者様の目線で説明をできるようになりたいですね。
それではまた、ズーでした。