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こんにちは。調剤システムメーカーの株式会社ズーです。
令和3年8月1日より特定の機能を有する薬局の都道府県知事による認定制度が始まります。
認定薬局は「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の二つがあり、特に地域連携薬局について多くの注目を集めているようです。
そこで今回は、地域連携薬局の概要をおさらいしつつ、地域連携薬局として認定されるメリットや、関連する加算についても考えてみたいと思います。
1.地域連携薬局とは
地域連携薬局は、入退院時の医療機関等との情報連携や、在宅医療等に地域の薬局と連携しながら一元的・継続的に対応できる薬局とされています。
これは「患者のための薬局ビジョン」における「かかりつけ薬剤師・薬局機能」と対応した機能となります。
認定薬局の趣旨としては、患者さんが自身に適した薬局を選択できるよう、特定の機能を有する薬局の都道府県知事による認定を行うとのことです。
2.地域連携薬局の認定基準
認定の基準は以下のように18項目あります。赤い項目は特に注目度が高いと思われる項目です。
- プライバシーに配慮した座って情報提供を受けられる設備
- ⾼齢者、障害者の円滑利⽤構造
- 地域包括ケアシステムに関する会議への継続的参加
- 地域の他の医療機関の薬剤師等への随時報告及び連絡する体制
- 地域の他の医療機関への情報提供回数(月平均30回以上)
- 地域の他の薬局に報告及び連絡することができる体制
- 開局時間外の相談への対応
- 休日・夜間の調剤の求めへの対応(地域の輪番制への参加等)
- 在庫として保管する医薬品を必要な場合に他の薬局開設者の薬局に提供する体制
- 麻薬の調剤応需体制
- 無菌製剤処理を実施できる体制(他薬局との協力体制の構築でも可)
- 医療安全対策の実施
- 常勤薬剤師の半数以上が一年以上常勤として勤務している
- 常勤薬剤師の半数以上が地域包括ケアシステムに関する研修を修了している
- 勤務薬剤師全員に14.に準ずる内容の研修を毎年計画的に受講させる
- 地域の他の医療提供施設への医薬品の適正使用に関する情報提供
- 居宅等における調剤並びに情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の実績(月平均2回以上)
- 高度管理医療機器等販売業許可の取得
補足として、1.の座って情報提供というのは、やむを得ない場合は椅子をあらかじめ備え付ける必要はありません。その場合は、利用者が座って相談を受けられることが可能であることを容易に認識できるように掲示や声掛けが必要とされています。
特にハードルが高いとされている5.の情報提供回数(月平均30回以上)については以下のような内容を満遍なく行うことが望ましいとのことです。
ア 利用者の入院に当たって情報共有を行った実績
イ 医療機関からの退院に当たって情報共有を行った実績
ウ 外来の利用者に関して医療機関と情報共有を行った実績
エ 居宅等を訪問して情報提供や指導を行い、その報告書を医療機関へ提出して情報共有を行った実績
各項目の詳細については以下の資料よりご確認ください。
主に③の中で詳細な説明がされています。
①医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布について(厚生労働省)
③医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行について(認定薬局関係)(厚生労働省)
3.地域連携薬局に認定されるメリット
地域連携薬局として認定されることで何ができるようになるのか、どんなメリットがあるのか考えてみます。今のところ認定されたことで報酬が発生するようなことはありません。
・名称表示によるアピールができる
「地域連携薬局」という名称は、類似の名称も含めて認定された薬局しか表示することができません。そのため、今後患者さんが薬局を選ぶ際の一つの指標になっていきます。
・薬局/薬剤師の成長につながる
地域連携薬局の認定には決して容易ではない要件がいくつもあるため、認定を目指す過程で薬局として成長できるとも言えます。
・今後の診療報酬改定に備える
近年の診療報酬改定は「患者のための薬局ビジョン」からの大きな流れとして「対物業務から対人業務へ」という文言の通りに進められているように感じます。
地域連携薬局は「患者のための薬局ビジョン」で掲げられたかかりつけ薬局の機能を反映しているため、直接的に加算にはならなくとも、今後の診療報酬改定に対応できる薬局の姿なのかもしれません。
4.関連する加算
地域連携薬局と名前の近い加算に「地域支援体制加算」があり、加算の要件を一部抜粋するとやはり似た内容があります。
※以下は調剤基本料1を算定する薬局を想定した場合
地域支援体制加算には他にも、かかりつけの届出や健康情報拠点等、いくつも要件がありますが、抜粋して見ると地域支援体制加算の延長線上に地域連携薬局があるような印象を受けます。
今後地域支援体制加算の要件が地域連携薬局の要件に近づいていく可能性もあるかもしれません。
5.終わりに
今回は地域連携薬局についてまとめてみました。
認定基準はハードルが高く、現状は報酬にも絡んでいませんが、今後求められる薬局の姿として示されたと考えられます。
特に在宅の対応については、今後ますます薬局に求められる機能です。
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それではまた。ズーでした。